Book(3-4)

闘争領域の拡大
闘争領域の拡大ミシェル・ウエルベック角川書店
全然知らない本だったけど、何となく衝動買い。フランスでは有名な作家さんらしい。陰気なシステムエンジニアの男から見た世界がシニカルに描かれる、何とも不思議な作品。とんがった雰囲気。解説によると<ウエルベック自身の言葉によれば、彼の作品はすべて「解明の試み」だ。そして解明の対象は、自らを取り巻く世界である>らしい。一見読みやすそうで、実際さらっと読めるのだが、深く考えるとよくわからなくなる作品。まあ機会があったら他の作品も読んでみたい。

犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎
犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎コニー・ウィリス早川書房
ついに読んでしまいました…しかも夜を徹して。止まらない止まらない。面白いよー。この本が読めて幸せ!間違いなく本年度ナンバーワン!
本作は『ドゥームズデイ・ブック』の続編にあたるが、設定と登場人物の一部が重複してるだけなので、どっちを先に読んでもいい。とはいえSF初心者であるわたしはやっぱり『ドゥームズデイ・ブック』を先に読んでて正解だった。『犬は〜』のほうがSF度が高いし、冒頭はちょっと意味不明なかんじだからこれを先に読んでたら引き込まれなかったかも。『ドゥームズ〜』が恐ろしく哀しい物語であったのに対して、『犬は〜』のほうは正反対!ユーモアありラブストーリーありドタバタ劇ありの楽し〜い小説だ。両方に共通するのは、これだけ長くてもその長さがちっとも気にならないこと。
細部を上げ出すときりがないくらい面白いのだけど、個人的に一番好きなのは「C」の恋だろうか。素敵…。それに犬と猫が可愛いこと!あと『ドゥームズ〜』ではちょっと頼りなかったフィンチが、本書ではすごーく頼れる男に成長してたことが不思議。ダンワージー先生にこき使われてたのだろうか…。
ちなみに翻訳もいい。すっごく読みやすいし、平面的じゃない。<プチ悲鳴>は笑えるけど。訳者あとがきによると、ウィリスが執筆中の最新作は、。『ドゥームズ〜』『犬は〜』に続くオックスフォード大学史学部シリーズの第三弾になるらしい。楽しみ〜。それより文庫版を待たずして『航路』を読むべきか???
http://www.ltokyo.com/ohmori/willis/index.html