Book(4)

幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))
幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))ウィリアム・アイリッシュ/ハヤカワ文庫)
ひゃー、おもしろい!あまりにおもしろくて眠気吹き飛んだし。読んでるあいだしあわせだったわー。最高!なんてわたしが声高に叫ばなくても、有名な本らしいんだけどね。何せミステリ疎いもんだから、全然知らなかったのよ、こんな作品。本屋でこの本が太めに止まったのは、折原一の『倒錯のロンド』の中に
<小説のタイトルだけは、すでに決まっていた。『幻の女』。いい名前だろう。ウィリアム・アイリッシュに同名の有名なサスペンス小説があるが、僕も当然この古典的作品を意識している。>
という一文があって、それを何となく覚えてたので手に取ったのだ。そして最初のページをちょっと立ち読みしてみた。最初の一文は―
<夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。>
この一文に目を通した瞬間に買うことを決めた。
主人公のヘンダースンはある夜、バーで不思議な女と出会う。まさにカボチャのような形をしたオレンジ色の派手な帽子をかぶった女。ヘンダースンはお互い個人的なことは何も聞かないという約束で女を誘い出し、レストランで食事をし劇を見に行って、女と別れ家に戻る。しかしそこには彼の妻の死体が―。ヘンダーソンは妻殺しの容疑で逮捕され、死刑判決を受ける。事件当夜の彼のアリバイを証明できる「謎の女」はいったい何者なのか?そしてあの夜、なぜだれもがヘンダースンは一人だったと証言するのか?死刑執行が刻々と迫る中、ヘンダーソンの友人が事件の解明に乗り出す。
刻々と迫るタイムリミット、真相に近づきながらも証人たちは次々と殺されて、もうドキドキの展開。もうこれだけでもすっごいおもしろいのに、この驚愕のラストはもう、目を疑ってしまいましたよ。とにかく最高な作品。
ついでにもう一つ驚いたのはこの人が「黒衣の花嫁」の作者だったってことだ。この本はわたしが小学生の頃に図書館で借りてすっごくおもしろくて、ストーリーは覚えてないんだけどタイトルだけ覚えてて、また読みたいって思ってた作品だったのだ。このウィリアム・アイリッシュコーネル・ウールリッチという名前で出してた作品らしい。近いうちに是非読んでみよう。ていうかこの人の作品全部読みたいぞ。