残念な日々 (新潮クレスト・ブックス)

残念な日々 (新潮クレスト・ブックス)

残念な日々 (新潮クレスト・ブックス)

久しぶりの翻訳小説はクレストらしからぬ残念な家族の爆笑物語。毎夜カフェで体壊しながら飲み続け、もちろん働きもせず男所帯(一応母親はいるけど)でやりたい放題なフェルフェスト兄弟。そんな彼らのもとで育てられる少年がこの物語の主人公である。冒頭の一遍「美しい子ども」は美しい叔母とその娘という闖入者がありながらも変わらずに残念な男たちの生態が描かれて深いため息なのだが、ラスト数十行で物語が色を変える。その瞬間、この残念な家族とこの残念な物語に惚れてしまった。一冊では物足りないほど愛おしい家族の物語です。