妻の超然(絲山秋子)

妻の超然

妻の超然

彼女からプレゼントされたパンツをはいていそいそと浮気デートを繰り返す文磨のばかばかしさとそれを揶揄する理津子の物言いにニヤニヤしつつ、<超然>の足下がぐらりと揺れる瞬間にぐっと胸つかまれる表題作。いろんな意味でアイタタタな「下戸の超然」もいいが、手術という圧倒的現実を通して雲をつかむような文学という存在と自分という一人の作家について描かれた「作家の超然」も味わい深い。やっぱ絲山さん好きだなーと再確認な一作。