鉄の骨(池井戸潤)

鉄の骨

鉄の骨

この人の作品読むのは初めて。企業小説ってあまり食指が動かないんだけど、評判いいだけあって、エンタメ度高し。うん、普通に面白かった。
企業小説って難しいですね。フィクションだとしても、ジャーナリズムの鋭さが必要になる。業界の内情に切り込む角度からすれば、『ハゲタカ』に代表される真山仁の小説のほうがスリリングさはあるけど、そっちは著者にこらえ性がないのかどの作品もガクッと来るラストで終わってしまう。その点で言えば、本作はエンターテイメント小説として完成度が高い。だけどその完成度が、フィクション性を高くなって緊張感が緩むんだよねえ。ま、小説だからね、それでいいんだけどさ。
と、なんだかんだ言いつつ、一気読み。読むべき一冊っていうんじゃないけど、読んで楽しい一作。直木賞は獲れなかったけど、この作品が候補に挙がるって、相当エンタメ性に寄ってますね。有川浩とかもそろそろノミネートされるんじゃね?