球体の蛇(道尾秀介)

球体の蛇

球体の蛇

この人の新作は買わないわけにはいかないのでね。
んんん………期待は裏切られない。
優しい嘘と切ない自責が、誰かの死に絡み、そして生きている人間に影を落とす。
どこまでも沈み込むこの物語を救うようなラストシーンが鮮やかだ。それは主人公の幻覚ではなく現実であって欲しいと、読者でさえ願う。
「生」と「死」の途方もない距離を感じる作品だった。