元職員 (100周年書き下ろし)(吉田修一)

元職員 (100周年書き下ろし)

元職員 (100周年書き下ろし)

バンコクを舞台にした横領男の物語、と言ってしまえば乱暴か。細部細部の上手さが際立つ作品。なんかね、まだ吉田修一は過渡期なんじゃないかと思ってしまう。同じように過渡期の角田光代はそれでもそれなりに完成した作品を出せるけど、吉田修一はそうじゃないと。『悪人』で打ち出した基軸をもっとブラッシュアップするのか発展するのかはわからないけど、とりあえず間違いはなさそうなので追いかけては行くのだ。
ちなみに本作も悪くはないが、一周回って基本的なとこrに戻ってしまった印象もある。それも含めて、次作に期待。