ディエンビエンフー 1 (IKKI COMICS) ディエンビエンフー 2 (IKKI COMICS)(西島大介)

ディエンビエンフー 1 (IKKI COMICS)

ディエンビエンフー 1 (IKKI COMICS)

ディエンビエンフー 2 (IKKI COMICS)

ディエンビエンフー 2 (IKKI COMICS)

こないだの『海獣の子供』もそうだったけど「IKKI COMIX」は二冊同時刊行がお好き?
実は何度かパラパラと読んだことがあるだけで、西島大介のコミックスを買うのは初めて。たぶんハマる予感はしてたけど、やっぱりハマった。
舞台は戦時下のベトナム。米軍の報道部として現地に派遣されたカメラマン・ヒカル。戦場に生まれ戦うために育てられたプリンセス。2人はまだお互いを知らない。
「戦争=日常」である状況で、普通を装いながら精神を追い込まれていく米兵たち。怒りを秘めたまま、商魂逞しくマネーを集めるベトナム人たち。ラブリーな絵柄にぴったりなほほえましい日常の描写に、違和感なく差し込まれる「死」。戦場に命をかける兵士たちを、次々と失敗に終わるアメリカの作戦を、あざ笑うかのようなモノローグ。
史実をかぶせてあるとはいえファンタジックな作品なのに、ぞくりとしてしまう。「普通ではない」と認識できない状況がすでに「非日常」であること、そのなかでの「死」はいかに当たり前であるかということ。そんな切羽詰まった状況などわかるはずもないとはいえ、どんな映画や小説より「戦争」というものをリアルに感じてしまった気がする。
翌日のランチはなんとなく、フォー。