西洋骨董洋菓子店(よしながふみ)

西洋骨董洋菓子店 (1) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (1) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (2) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (2) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (3) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (3) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (4) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (4) (ウィングス・コミックス)

よしながふみ熱が高まっております。月9でドラマ化もされた本作に挑戦。


超がつくほどのボンボンで何でも器用にこなすうえ男前……と完璧ながら少々性格に難あり、という橘が唐突に洋菓子店の経営を始めることに。本人は辛党でスウィーツのことなど何もわからないのだが……。そんな橘に雇われた天才パティシエ・小野は、「魔性のゲイ」。人畜無害な風体なのだが、ゲイはもちろんストレートまで落としてしまうという伝説の持ち主。色恋沙汰が原因で有名パティストリーを転々としていたのだ。しかも小野は高校時代、同級生であった橘に告白してこっぴどく振られた過去を持つ……。
そんな奇妙な因縁を持つ二人ではじめた洋菓子店「アンティーク」は、小野の腕前のおかげで順調な滑り出し。従業員募集をはじめたところ、元ボクサー・エイジが飛び込んでくる。大の甘党のエイジは小野のつくるケーキに惚れ込み、弟子入りすることに。また橘を「若」と呼ぶガタイのいい謎の男・千影も押し掛けてきて……。


ふー、面白かった!
タイプの異なる4人の男たちの奏でるハーモニーとでもいいましょうか。あ、でもBLじゃないですよ。一人真性のというか魔性のゲイが混じってはいますが。そういう恋愛絡みのことじゃなくて。仕事で組むチームとか、団体競技とかでもそうだと思うけど、全員が全員を信頼できる関係性っていうのはそうあるものではない。「あぁこのメンバーはいい!」と思える仕事は楽しいものだ。
「アンティーク」という店を橘と小野の二人で始めて、いろんなことがありながらもエイジと千影という信頼できるスタッフを加えて、4人で安定した営業形態まで持ってきた。これがこの店にとっての、はじめての「黄金期」なんだと思う。人はいつか入れ替わる。エイジは数年後にはフランスに修行に行くだろうし、店自体がもっと有名になれば橘の立場も変わってくるだろうし、小野も新たな新天地に向かうかもしれないし、千影も違う道を選ぶかもしれない。だからこそ、この4人が揃ったこの店の時間がこんなにもいとおしいのだと思う。
また、4人それぞれの複雑な家庭環境なども上手く絡ませてあって、物語は予想外の奥深さを見せる。だから過去の傷を癒せなくても受入れる、そんな自分を許す、その気持ちだけでハッピーエンドな突き抜けたようなラスト。なんて繊細な物語なんだ!


ていうかこれ月9なんかでドラマ化は無理じゃね?……と見てもないのに、しかも数年前に終わってるのに今さら不安。ていうか誰がやってるの?
というわけでフジテレビのHPで見てみたところ、橘→椎名桔平、小野→藤木直人、エイジ→滝沢秀明、千影→阿部寛、らしい。
阿部寛は納得だな。スッゲー似合う。あとの3人はちと微妙なところ。小野もゲイではなく、手痛い失恋によって女嫌いになったってことになってるし。(今期の「のだめ」の真澄ちゃんのように)キワモノキャラとしてのオカマはオッケーでも、主役級に普通のゲイはアウトってわけですか。かーなり無難につくられているんだろうなと予測できるものの、ちょっと見てみたいです。DVD借りてこようかな。