無限の網――草間彌生自伝(草間彌生/作品社)★★★★★

無限の網――草間彌生自伝
ほんっとうにアートとかに弱いもんで、この人の名前もうっすら聞いたことがあるような…ていうかんじだったんですよ。どういう人なのかどういう作品を書いてる人なのかも知らず。なのにこの本を手に取ったのは、金原瑞人氏による『12歳からの読書案内』で紹介されていたの読んで気になっていたからだ。でも行きつけの本屋になかったのでしばらく忘れていたんだけども……。
たまたま先日、ヴィレッジヴァンガードで発見。隣に版画集が置いてあってパラパラ見てみたらこれまた好みなのでそちらも購入してしまいました。

強迫神経症に苛まれながら、50年代後半に単身アメリカに渡り、ダリやウォホール等との交流の下にハプニングの女王として一世を風靡。今も前衛として世界に発信する比類なき才能の奇跡。

この自伝、恐ろしいくらいにパワフルです。
長野の旧家に生まれ、保守的な母親と取っ組み合いになろうとも絵を描くことを止めず、フランスに行きたいと思えばフランスの大統領に手紙を書いてしまう(しかも返事をもらってる!)その情熱。まだまだ海外渡航が厳しかった時代、アメリカでの身元引き受け人をツテで探し出し、制限を超えるドルを靴の中に隠して単身アメリカに渡ってしまう、そのパワー。あこがれのニューヨークで、寒さと飢えに苦しみながらも狂ったように作品に向かう、その強さ。
立ち止まることを恐れるかのように、彼女は突き進む。知名度がどれだけ上がっても、彼女の中にある創作への欲望は尽きることはない。<前衛>に取り憑かれたような彼女の人生のスピードは圧倒的で、読んでるコチラが生気を吸い取られそうなほど。そしてページをめくる手は止まらないのだ。
こんな人がいるのかと、ショックに打たれること間違いなしです。


ちなみに一緒に買った版画集はコチラ↓
草間彌生全版画集 All prints of KUSAMA YAYOI 1979-2004
もともとドットは好きなんで、超好み。かぼちゃもいいけど、ぶどうが好きだな。