女彫刻家 (創元推理文庫)（ミネット・ウォルターズ／創元推理文庫）

この人の作品読むのは二作目。

オリーヴ・マーティンー母妹を切り刻み、それをまた人間の形に並べて、台所に血まみれの抽象画を描いた女。無期懲役囚である彼女には当初から謎がつきまとった。凶悪な犯行であるにも拘らず、精神鑑定の結果は正常。しかも罪を認めて一切の弁護を拒んでいる。わだかまる違和感は、歳月をへて、疑惑の花を咲かせた……本当に彼女の仕業なのか？

そんな希代の殺人者・オリーブのことを書くことになったフリーライター・ロズの視点から描かれるサスペンス。ロズは恐れながらも初めての接見で意外にも聡明で感じのいいオリーブに、事件の異常性との違和感を感じ、事件を洗い直す。その過程で知り合ったもと警官・ハルとは会うたびに不可思議な事件が起こってー。
うっわーなんだろこれ。上手い上手い。あくまでオリーブの事件を追うストーリーなのだが、ロズが突き回した火種が後半になってあちこちで引火する。ラストも二転三転してるどころか最後のページはさらに謎を生み出す…？この作家は真実を読者に知らせてはくれないんだねぇ。
なんか形は全然違うけどこの作品って「本格ミステリ」っぽい。誰かが嘘をついてる、もしくは誰もがちょっとずつ嘘をついてる、その矛盾点があらわになってくるから面白い。もうひとつ、視点となっているロズの不安定さが読むものを不安にさせる。すごい騙されそうなんだもん…。
とにもかくにも楽しめました。