夜明けのブランデー (文春文庫)(池波正太郎/文春文庫)

夜明けのブランデー (文春文庫)
やっぱいいな、この人のエッセイ。いやエッセイというより随筆か。それよりページを開いたときにハッと目が覚めた。ページが白かったからだ。文庫としてはかなり上質な紙を使用している。白くてつるつるで厚い。すべてのエッセイにおいて著者本人による挿絵が添えられていることも贅沢に感じる。亡くなる6年前に出版されたものだが、やはりというか体の不調をつづる文章も多い。だがそのわりにはしょっちゅう試写会に出向いたりフランスへ旅行したりと仕事以外にも活動的だ。子供のころ足に怪我をしても杖をついて映画館に行っていたというエピソードもあり、「三つ子の魂百まで」だなと思い、おかしくなった。いつかこの人の歴史小説も読んでみたいな。