Book(34)

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)
高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)フィリップ・K・ディック/ハヤカワ文庫)
こないだヴィレッジで購入したもの。ヴィレッジの棚の中で少ない翻訳SF小説コーナーの中でこの人の作品だけやたらあったもんだからつい…。
面白いなんてもんじゃないね。こんなに物語の世界に集中したのは久しぶり。第二次大戦でドイツと日本が勝ち世界を支配しているという設定で、日本の植民地となったアメリカにおける物語。プライドを捨てて日本人を上客とする古美術商の男、ユダヤ人であることを隠し工芸品を作成する男、そして別れた妻、ドイツの新たな敵を進言しに来た謎の男―様々な人間がすれ違う。そしてすべてのストーリーに関わってくるひとつの小説『イナゴ身重く横たわる』。この作品はドイツと日本が戦争に負けたという設定で書かれたもので、すでにドイツ支配下では発禁となっていたものであったが…。
複雑な政治動向と民族のプライドがほとばしる。止まらない。この作者に対して今さらこんなにビックリしてる人は私くらいかもしれないが。も〜とにかくドキドキの展開です。SFってあんまり読んでないにもかかわらず、これまで読んだ作品でベスト10といえば翻訳SFがけっこう入ってくるんだよな…これからも臆せず読んでいこう。