Book(10-12)

猛スピードで母は (文春文庫)
猛スピードで母は (文春文庫)長嶋有/文春文庫)
こうも毎日本屋に行ったりbk1で本日入荷の新刊なんてものをチェックしてると、店員さんが並べたさきからだだだっとピックアップしているようなもんで…。というわけで今日入荷の文春文庫を数冊さらってきた。
この人の作品は初めて読む。芥川受賞の表題作と文学界新人賞受賞の「サイドカーに犬を」の二編を収めた著者初の文庫本。
う〜ん、微妙。上手いとは思うし読みやすいんだけど、これからもこの人の作品を読んでいきたいと思うほどの個性がない気がする。タイトルは結構好きだけど。


素晴らしい一日 (文春文庫)
素晴らしい一日 (文春文庫)平安寿子/文春文庫)
この人の作品はほとんど読んだかと思ったけど、これは未読だった。なんか表紙が毎回似てるから混乱するのだ。
なんだか運の悪い女たちを主人公にした短編集。これがデビュー作なのか!これは頻繁に思うことだけど、上手い人ってデビュー作からして上手いよね。一番好きだったのはラストの「商店街のかぐや姫」。商店街の小さなスーパーを営む家に嫁いだ主人公だが、ダンナはたいして働きもせずどうしようもない女と浮気ばっかりして調子良いことばかり言ってそのくせ憎めない性格なのが余計腹立たしくなるようなタイプで、それでも結婚を決めたのは、竹を割ったような性格で懐の深い義母にひかれたからだ。新しい家族との関係に満足しながらも実の家族との不仲をひきずる主人公の心中と、うまいことかき回すダンナと義母の存在が頼もしさのバランスが絶妙。解説は北上次郎



自転車少年記
自転車少年記竹内真/新潮社)
この本を買ったのはちょっと前なんだけど分厚いので持ち歩けず、家にいるときにちょこちょこ読み進めていたもの。
もうタイトルそのまんま。昇平と草太という自転車大好きな二人の少年の青春物語。長いだけあって6歳から20代半ばまでの二人の人生が描かれる。二人の自転車がらみの歴史と行間に漂う爽快感から、著者の自転車にかける熱い思いが伝わってくるなぁ。ラストはちょっと涙ぐんでしまった。二人とも立派になったなぁ…って母親みたいに。