Book(10-12)

リアルワールド
リアルワールド桐野夏生集英社
おぉ〜これ読んでなかった!とブックオフで見付けて感激。桐野夏生最後の未読本。
高校三年生の十四子はある日、隣の家からガラスの割れる音が聞こえ、不審に思う。顔を合わせた隣の家の息子に尋ねてみるも、「ガラスなんて割れてない」と言われるだけ。十四子もあまり気にとめずいつも通り予備校に行くが、帰りに自分の自転車とそのかごに落とした携帯が盗られていることに気付く。そして夜、衝撃のニュースが飛び込んでくる。隣家の男の子・ミミズが母親を撲殺して逃走していた―。さらに十四子の携帯と自転車を盗んだのもミミズだった。彼は逃走しながら十四子の友人に次々と電話をかけていたのだ。
事件当時の物音やその後顔を合わせたことを警察には話さなかった十四子、突然の電話に驚きながらもミミズの逃走を手助けするユウザン、ミーハー心からミミズに会いに行くキラリン、無関心を決め込むテラウチ。意味不明な言動を繰り返すミミズ。どこか無責任な行動に身を任せる彼女たちとミミズをラストに待ちうけていたのは、どこまでもシビアなリアルワールド<現実>。
スリリングなストーリー展開に一気に引き込まれるが、それ以上に物語を際だたせているのが仲良しグループである彼女たちのキャラクターがそれぞれの目線からシビアに描かれていることだろう。思春期の自意識過剰さが物語の普遍性と狂気を高めているように思える。
相変わらずはずれなしの桐野作品。今回も楽しませてもらいました。



天国はまだ遠く
天国はまだ遠く瀬尾まいこ/新潮社)
ブックオフで購入。
仕事のストレスに疲れ、辺鄙な片田舎の民宿で睡眠薬自殺を図った千鶴。しかしその量が足りなかったため、丸一日眠ってすっきりして目覚めてしまう。「もう死ぬ勇気がない」と自殺はあきらめたものの、毎日何をやったらいいか見当もつかないまま、その民宿に居座り続ける。他に客のいない民宿を一人で切り盛りする田村と打ち解けていくが―。
う〜ん、読む前にこの作家に抱いていたイメージそのままかな。可愛いねえ、みたいな。主人公の女の子のキャラがちっとも立ってない気がする。まあ、さっぱりと読めましたが…。



宇宙でいちばんあかるい屋根
宇宙でいちばんあかるい屋根(野中ともそ/ポプラ社
こちらもブックオフ
14歳のつばめはある夜、通っている書道のクラスが開かれるビルの屋上でキックボードを練習する不思議なばあさんと出会う。口が悪くて意地悪なその<星ばあ>はキックボードの乗り方を教えたつばめに、一つだけ願いを叶えてやる、と言う。半信半疑ながらつばめは、前の晩に勢いで出してしまったラブレターの回収を頼むのだが…。
ふん。どこの世界にこんなに素直で物わかりの良い14歳がいるんだ。陳腐なラストにもため息。