Book(12)

夜かかる虹 (講談社文庫)
夜かかる虹 (講談社文庫)角田光代講談社文庫)
最近この人のハードカバーは必ず買うようにしてるが、昔の作品はまだ未読が多く、これも文庫本になったのを機に購入。これは1998年に単行本になったもの。6年前だ。それを思うとやっぱこの小説家はすごく変わったと思う。核になる部分は全然変わってないんだけど、ふっきれ感が全然違う。だから読後感も全然良くなってる。
これは「夜かかる虹」と「草の巣」の2編の作品が収められている。「夜かかる虹」は昔から物でも男でもすぐに自分のものを取ろうとする妹との関係に悩む女の話なのだが、妹に対して残酷なことばかりしていた幼少期のエピソードも挿入され、とてもバランスのいい作品。「草の巣」は、ホステスと風変わりな客、という関係でしかない男の車に発作的に乗り数日間をその男と過ごす、という女の物語。説明しづらいがこちらはすごく、角田光代らしい作品。個人的には表題作の方がオススメだが、どちらもじっくりと楽しめる。