Book(9-10)

暗闇の囁き (講談社文庫)
暗闇の囁き (講談社文庫)綾辻行人講談社文庫)
<囁き>シリーズ二冊目。論文を仕上げるため、人里離れた森の中にある叔父の別荘へやってきた拓也。隣の別荘には美しい双子の少年と姿を見せない母親、そして使用人たちが暮らしている。別荘に着いた翌日、少年たちの家庭教師・遥佳が拓也のもとを訪れ、前任の家庭教師だった彼女の友人が不思議な死を遂げたことを相談する。
ありがちっぽいかんじだなあ。まあさらっと読めるけど。



なんにもうまくいかないわ
なんにもうまくいかないわ平安寿子徳間書店
人騒がせな志津子という女に振り回される周りの人間たちを視点にした短編集。40代シングルで仕事してりゃ格好いいキャリアウーマン、お節介でお人好しで仕事仲間や飲み仲間も出会った日から即ファミリー化で私生活のことまであけすけに話す、別名「私生活のない女」・志津子。台風の目のようなこの女に振り回されながらも、憎めないキャラクターのせいで、いつしか誰しも志津子を甘やかしてしまう。近くにいたらきっと迷惑だろうけど、ちょっと友達になりたいとも思ってしまった…。うまいなーと思うのは、それぞれの視点から描かれた「志津子」という人物像が微妙に違うところ。近しい女友達、会社の後輩、昔の男…それぞれから見た微妙な「志津子」の描き方の差がすっごく上手い。まあキャラの強烈さのせいで志津子のことばかり目がいってしまうが、本来は物語の視点となる男たち、女たちのそれぞれの物語に、スパイスとして志津子が登場している、というのが説明としては正しいです。