Book(25-26)

ワーキングガール・ウォーズ
ワーキングガール・ウォーズ(柴田よしき/新潮社)
柴田よしき、いいんじゃない?この路線!! と読みながら何度も思ってしまった。この人の作品については、女版ハードボイルドっぽい作品(RIKOシリーズとか)はそれなりにおもしろいけど、ミステリにしてもサスペンスにしてもケレン味が強すぎて中途半端な作品がすごく多かったんだけども…。
でもこれはいいな!37歳、大手楽器会社の企画部係長、独身、若い子には「お局」扱い…そんな翔子の視点から主に描かれた小説なのだけど、すごく新しい気がする。なんか今まで30代後半である程度社内での地位を認められた独身女って、すごく理想化されたような(女性誌に載ってるような)生活を送ってるか、ちょっと自分を卑下したような女が多かった気がする。小説の主人公となる女としてはね。でもこの小説はすっごーく普通なのだ。翔子はたしかにそこそこの年収は得ているけど、とくにブランド物も集めず、陰口たたかれてもどこ吹く風で、お昼は一人でご飯食べて、でも相談されれば親身になってあげて―。でも、強い。自分が女であるということを含めて、強い。だからこんなにも前向きな女たちの物語は読んでて楽しい。


百年の誤読
百年の誤読岡野宏文豊崎由美/ぴあ)
装丁地味!!たぶん前の日には間違いなく出てたはずなんだけど、わかんなかったもんね。もっと大々的に積んで欲しいと思ってたのに…。つい出版しちゃったけど日本の代表といえる文豪をメッタ斬りしすぎてて他の出版社に文句言われたくないんで、ちょっと地味なところにおいてくださいよ本屋さん…ってことかしら??
中身は期待通り。とはいえ、わたしは過去100年分の日本文学をそう読んではいないので全部は楽しめなかったけど。80年代あたりからぽつぽつ、90年代の作品あたりからは読んだことがあるのが多かったので、お二人の対談も読んでて楽しかった。その前の作品はかろうじて三島由紀夫とか川端康成とか読んでたくらいで、あとは全然知らないし。でも対談を読んでて「あーこれは読みたい!!」とか思えるものもあって、ブックガイドとしてもなかなかいいかも。でも逆に言えば最近の作品について言えば、斎藤美奈子の本に書いてあることにかなり近いなって気もする。ベストセラーに特化した書評本すでに出してるからね…。ベストセラーといえど、文学に特化すればよかったんじゃないかと思う部分もあるけど。でも面白いです。