Book(31)

Q&A（恩田陸／幻冬舎）
都内郊外のショッピングモールで原因不明の事故が起こった。買い物客のパニックはなんと、死者69名、負傷者116名を生み出した。テロも事件も起こらなかったあの空間で、何がパニックを生み出したのか。
「これからあなたに幾つかの質問をします。ここで話したことが外に出ることはありません―。」。研究者による当事者、関係者、目撃者とのQ＆A。様々な角度、距離から語られる事件の『結果』とは―？
上手いなあ、読ませる！ひたすら会話のみで組み立てられたストーリーだが、「A＝答える人」が次々と変わることでテンポ良く読めるし、生の声が事件の厚みを増してどんどん引き込まれる。パニックといえば二日前に読んだ『ドミノ』もそうだが、やっぱり構成が抜群に上手いよなと思う。それにしても怖い小説だった。それぞれから語られる事実も怖いけど、さらに「Q」と「A」（読者も）の求めているもののズレが二重に怖かった。
この上なくシンプルな表紙に派手なイラストの帯、という装丁もグッド。