Book(25-26)

六番目の小夜子 (新潮文庫)
六番目の小夜子 (新潮文庫)恩田陸新潮文庫
古本屋で購入したもの。とある地方の高校の中で密かに語り継がれる『サヨコ』伝説。「六番目のサヨコ」が生まれるはずの年に美しい転校生がやってきた―その名は津村沙代子。本当の『サヨコ』とは何なのか?―その意思を受け継いでいるものは誰なのか―。
恩田陸のデビュー作。サスペンス部分を凌駕するかのような「普通の高校生の生活」を描ききっているのはいかにも。楽しんで読めます。



血と骨
血と骨梁石日幻冬舎
こちらも古本屋。気分の悪いときに読むもんじゃない。
金俊平―家一軒壊滅させるくらい朝飯前という、ヤクザからも恐れられる男。かまぼこ職人として日本で働いていた俊平は惚れた女から裏切られたことを機に仕事を解雇され、韓国料理屋を営む未亡人の英姫と無理矢理結婚する。英姫との間に子供が生まれるが酒に酔って店を壊すわ、英姫に暴力をふるうわ、あげくに家を出、違う土地で女と暮らしながら英姫に金を無心してくる。俊平の暴力が恐ろしい英姫はひたすら金を渡すが行き詰まり、逃亡する。飲まず食わずの生活で死にかけた英姫の姿を見て、多少おとなしくなったに見えた俊平はしばらくしてかまぼこ工場を創るから金を出せと英姫に詰め寄る。これでおさまればと英姫は必死に働きその金を準備し、俊平はその工場で一財産を成す。しかし英姫と同じ家の中で妾を住まわせるわ、酔えば家族に暴力を振るうわ、収まらない。徐々に家族との距離を置き始める俊平だったが、その吝嗇な心は変わらないままだった―。俊平の唯一の友人である高信義は思う。なぜすぐそばにある愛情を得ようとはしないのかと。
誰も信じることの出来ない哀しい男の一生が描かれる。「ざまあみろ」とおもうと同時に高信義と同じく「なぜ…」と思わざるを得ないのである。重い一冊。