2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

さよならアメリカ(樋口直哉/講談社)★★★

第48回群像新人文学賞受賞作 新世代の感覚と文学の伝統。これぞ小説の未来形。 ぼくは袋を被って生活している。袋の後ろには「SAYONARAアメリカ」というロゴが。噂で聞いた、袋族の少女と出会うために、ぼくは街を彷徨う。突然現れた、異母弟を名乗る男との…

ムンクを追え! 『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日(エドワード・ドルニック/光文社)★★★★☆

ムンクの『叫び』が盗まれた! 美術館に残されていた絵葉書には、こんなメッセージが…… 「手薄な警備に感謝する」 レンブラントもフェルメールもピカソも盗まれた。 巨大な犯罪市場と化した盗難絵画ネットワークの実像とは? わずか数人のロンドン警視庁特捜…

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)(ジーン・ウルフ/図書刊行会)★★★★★

ふ〜読んじゃいましたよ、ウルフの最新刊! 個人的には『ケルベロス〜』に続いて二冊目です。 これがもう。スッバラシイのよ。ウルフは凄い!翻訳者のあとがきのなかで、「わたしの考える優れた文学とは小説に親しんでいる読者が楽しめるもの、再読によって…

群像05月号特集〜新人15人短編競作〜(4)

今日が最終日です。 ●「闇を囲う」望月あんね(5/10) 夜逃げのように出て行ってしまった恋人。置き去りにされた男は体調が悪くなり…。 う〜ん。いつまた逃げ出してしまうかもしれないから閉じ込めておく、という話のオチがストレートすぎてなんとも…。 ●「…

群像05月号特集〜新人15人短編競作〜(3)

今日読んだ3作も良かったです。●「ウンコに変わる次世代排泄物ファナモ」前田司郎(8.5/10) 作者は劇作家の方だそう。 なんちゅうタイトルだ。でも結構笑えます。 すべてにおいて「完璧なかっこよさ」を目指す男と、その生理的欲求とのタタカイ、を一部始終…

群像05月号特集〜新人15人短編競作〜(2)

今日読んだのはアタリばかりです。 ●「まつわるもの」中山智幸(9/10) この人の作品を読むのは初めて。文學界新人賞をとった人らしい。 これがね、上手いんですよ。 真夏日にクーラーの壊れた車で電話帳の配達に回る、大学生二人の一日を描いた作品。作品全…

群像05月号特集〜新人15人短編競作〜(1)

基本的に文芸誌は買わないんだけど、あまり知らない新人作家を知るにはいい機会かなと思い購入。 その新人15人とは、 桜庭一樹、佐藤智加、高原英理、田中慎弥、津村記久子、中山智幸、蜂飼耳、樋口直哉、ピスケン、前田司郎、三浦しをん、宮内聡、望月あん…

宇宙クリケット大戦争 (河出文庫)(ダグラス・アダムス/河出文庫)★★★

<銀河ヒッチハイク・ガイド>シリーズの第3弾ですね。3巻目からは面白くない、というウワサなので、あまり期待せず、気楽に読みました。ま、たしかにストーリーはね、破綻してます。でもね、そんなことはいいのだ。だってアーサーは相変わらず誰からも侮…

黒衣の花嫁 (ハヤカワ・ミステリ文庫 10-4)(コーネル・ウールリッチ/ハヤカワ文庫)★★★☆

これ、小学生のときに、学校の図書館で借りて読んだのだ。多分。「黒衣の花嫁」というタイトルだけが頭の片隅に引っかかってて、内容は完全に忘れちゃってるけど。ていうか読み終わった今もまったく既読感ないし。ま、だいたい数ヶ月前に読んだ本の内容も忘…

地味に10万アクセス突破

してました。はてな始めて丸2年。最初の頃は気が向いた時しか更新してなくて、アクセスは少なかったんだけど。この1年くらいはマメに更新するようになって、だんだん伸びてきたように思う。それでちょっと色気を出して、先月は毎日更新を目標にやってみたら…

2006年本屋大賞が決定しましたね

http://www.excite.co.jp/book/news/00101144237447.html 「東京タワー」でしたか。「ナラタージュ」が来るのではないかと踏んでいた私の予想は大ハズレ。 ちなみに順位は 1位『東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン~』 リリー・フランキー/扶桑社 279…

忘れないと誓ったぼくがいた(平山瑞穂/新潮社)★★★☆

『ラス・マンチャス通信』で2004年度ファンタジーノベル大賞を受賞した著者の、二作目にあたるのが本書。個人的には初挑戦。 主人公のタカシは受験を控えて勉強にいそしむ真面目な高校生。眼鏡ショップで知り合った女の子と、意外な再会を果たすが、彼女はと…

鈴木いづみプレミアム・コレクション(鈴木いづみ/文遊社)★★★★★

鈴木いづみという存在を知ったのは、ほんの5〜6年前だ。 当時わたしは大学生で、ヴィレッジヴァンガードをぶらついてたところ、やたら目力の強い女が表紙を飾るシリーズに引き寄せられ、ページをめくって撃ち抜かれた。それはこのプレミアム・コレクション…

夜更けのエントロピー (奇想コレクション)(ダン・シモンズ/河出書房新社)★★★★★

ん? ダン・シモンズってもしかしてあの『ハイペリオン』のダン・シモンズか?…と気付いたのが最近。おせぇ。 去年話題になったのは知ってたんだけど、この可愛らしい表紙とあの重厚壮大なスペースSF『ハイペリオン』が頭の中でつながらなかったのだ。なんだ…

イノセント上 (ランダムハウス講談社文庫) イノセント下 (ランダムハウス講談社文庫)(ハーラン・コーベン/山本やよい・訳/ランダムハウス講談社)★★★☆

前作『ノー・セカンドチャンス』は主人公のキャラがなんとなく納得いかなくて微妙な印象のハーラン・コーベン、二度目の挑戦です。 きっかけは、携帯電話に送られてきた妻の浮気現場らしき画像。しかも発信元はなぜか妻自身の携帯電話だったーー。ごく普通の…

顔のない裸体たち(平野啓一郎/新潮社)★★★★

ごく平凡な女教師・吉田希美子は、ふとしたきっかけで登録した出会い系サイトで知り合った男との行為にのめり込んでいく。男は自分たちの性行為を録画撮影して、インターネットのアダルトサイトに投稿する趣味があった。ネット上を歩き回る淫らな彼女の顔に…