風車祭 (文春文庫)(池上永一/文春文庫)★★★★

風車祭 (文春文庫)
『夏化粧』『シャングリ・ラ』『レキオス』に続いてこの人の作品読むのは4冊目。この作品もなかなか分厚いが、読んでるあいだとっても楽しかった。

長生きに異常な執念を燃やす島のオバァ、フジは、九十七歳の生年祝い風車祭」を無事に迎えようと、家族や島人を混乱の渦に巻き込む。一方、神事を怠り危機に瀕した島の運命は? 島の祭や呪術を背景に、オバァや巫女、六本足の妖怪豚が大活躍する、生命力とユーモア溢れる壮大な物語。98年度直木賞候補作。

なんていったってフジのキャラクターが最高。
何せ子供の頃から「長生きすること」を人生の目標に掲げて、激走の時代を軽々と生き抜いたとんでもない生命力の持ち主だが、中身はただの意地悪バァさんである。子供をからかっては金を巻き上げ、島に洪水が起きれば嬉々としてスーパーに略奪にいく。「長寿の秘訣」をちらつかされれば誰にでもひれ伏し、一方自分より長生きのオジィやオバァを見れば不機嫌になる。
わかりやすくて可愛いのだけどね。


このほかにも、人間に恋してしまった六本足の巨大豚・ギーギーや、子供なのに妙に勘の冴えるおませな郁子、その郁子の姉で大酒飲みの高校生・睦子、なぜか250年以上もマブイだけの存在で島に居続けるはめになった盲目の美少女・ピシャーマ、そのピシャーマに心奪われたために落としたマブイを拾おうとしないまっすぐな少年・武志など、濃いメンバーが物語を盛り立てる。


この物語の中で重要なキーワードとなる<マブイ>とは、魂のようなものらしい。ここの登場人物たちはしょっちゅうマブイを落としてるが、落としたからといってすぐに死ぬというわけではなく、ユタに探してもらえば大丈夫なよう。なんか曖昧だしホントかよ?と疑いたくもなるのだけど、著者自身、生まれ故郷である石垣島にいた頃にマブイを落とした経験があるらしい。不思議だねぇ、今の沖縄の島とかでもこういう概念は生きてるのかなぁ。


このマブイをはじめとした<沖縄らしさ>がこの物語の根底にあり、それがとても魅力的だ。オバァたちのたくましさ。不思議なものを自然に受け入れる風土。南国らしい怠惰さ。沖縄語に彩られた会話のテンポも相まって、まるで異世界のような、でもなつかしいような世界にどっぷり浸ってしまう。


雰囲気に酔いながら得意なキャラクターたちに引っ張り回されて、飽きることなく最後まで突き進んでしまう。『レキオス』や『シャングリ・ラ』に比べれば、ラストの盛り上がりが足りない気もするが(『レキオス』は盛り上がり過ぎというかはっちゃけ過ぎな感もあるが)、この作家のセンスの良さがたっぷり詰まった一冊だと思う。
くすくす笑いながらぐいぐい読めちゃいます。


しかしこれが直木賞候補になるなら『シャングリ・ラ』も候補になっておかしくないのになぁ。長過ぎて読んでもらえないかな…。


ちなみにWEB本の雑誌のコンテンツ「作家の読書道」でこの作品の取材時のエピソードなんかが興味深いです。沖縄はなんかすごいなぁ。
http://www.webdokusho.com/rensai/sakka/michi51.html

はてなトラブル無事解決

5日間ほど(1/29から)、日記を更新してもアンテナに反映されない、という状態だったのですが、今日復旧しました。
31日にはてなに質問メールを送っておいたところ、今日返事が来ました。
今後同じ症状になった人にとって参考になればとその一部をコピペしておきます。

お問い合わせいただきました件、
http://d.hatena.ne.jp/juice78/
につきまして、更新チェック範囲に不適切な指定があり
正常に更新がチェックされておりませんでした。
こちらを削除しましたので、現在は正常に更新チェックが
行われております。ご確認ください。

ページの更新範囲につきましては、アンテナ画面にて
ページタイトル横に表示されているエンピツ型アイコンを
クリックすることでご確認・編集いただけます。

アンテナの設定画面にある項目のようですね。その存在を知らなかったのでいじった記憶もないのだけど、もしかしたら気付かずに何か一文字くらい入れてたのかな。そこは基本的に何も入れないのがデフォのようですね。
ま、そういうわけで無事にもとの状態に戻ったので良かったです。
はてなスタッフ様、丁寧なご対応ありがとうございました☆