お縫い子テルミー(栗田有起/集英社)

お縫い子テルミー
『ハミザベス』に続いてこの人の作品読むのは二作目。針で生計を立てるテルミーの一風変わった恋を描いた表題作、そして母親と二人暮らしの少年のひと夏を描いた「ABARE?DAICO」収録。
前作を読んだときにも思ったけど、やっぱこの人上手いんだなぁ。言葉を紡ぐそのセンスが、ずば抜けてると思う。表題作は叶わぬ恋をひっそりと埋葬しながら、何故かファミレスで、はじめての自分のための服をつくるシーンが印象深い。テルミーは「生きる術」を知っている人だと思う。もう一方の「ABARE?DAICO」もお気に入り。こんなものわかりのいい家事万能な小学生の男の子がいるもんかい、とは思うのだけども。ちょっと変わった友達に影響を受けて、自分自身の考えを身につけようとする主人公の男の子が巻き込まれてしまった変な事件。それを不問にすることで息子を信じる母親が好き。
『オテルモル』もはやく読みたいな。